
韓国在住文化系ライター
成川 彩
汝矣島(ヨイド)で本格ドイツパン 栄養満点で噛むほどに旨味
目次
五輪ドイツチーム公式ベーカーの腕前
国会議事堂があることで知られる汝矣島(ヨイド)。そして国会議事堂のすぐ近くには、私の勤務先の一つ、韓国放送公社(KBS)があります。ここで2020年からラジオに出演していて、たまに寄ってパンを買って帰るのが、本格ドイツパンのお店「BrotART」。Brotはドイツ語でパンの意味だそうです。私が韓国で一番好きなパン屋さんです。
ドイツパンは原料にライ麦を使い、ちょっと重くて硬めですが、噛むほどに味わい深いパンです。プレッツェルや、クリスマスによく食べるシュトーレンなどもドイツパン。何より、食物繊維やビタミン、ミネラル、鉄分などが豊富に含まれ、栄養満点。ドイツのパン文化は2014年にユネスコの無形文化遺産に指定されました。
「BrotART」はドイツパンを中心にしつつ、サンドイッチやケーキなど、100種を超えるパンとスイーツのお店です。私が特に気に入っているのは、クリームチーズ・ネギ・プレッツェル(크림치즈 쪽파 브레첼)。プレッツェルにクリームチーズとネギが挟んであるのですが、この意外な組み合わせが絶妙なハーモニーを奏でてくれます。

この店を営むキム・ヒョンジュンさんは、2018年の平昌オリンピックでドイツチームの公式ベーカー(パン職人)を務め、この年の12月に汝矣島で「BrotART」をオープンしました。ドイツは主食がパンなので、ドイツ代表選手の主食を担当したということです。
キムさんは平昌オリンピックまでの5年間、ドイツでパン作りを学びました。韓国から製パンを学びに留学する先としては日本やフランスが多いなか、なぜドイツ?と聞いてみたら、「韓国ではパンは間食のようなイメージが強かったのが、だんだん食事として認識されるようになってきて、食事としてしっかり栄養が取れるドイツのパンを韓国で広めたいと思いました」とのこと。先見の明があったようで、オープンから間もなくテレビや雑誌でたびたび取り上げられ、瞬く間に人気店になりました。周辺のオフィスに勤める会社員や住民のみならず、遠くから買いに来るお客さんも。
パン屋の2階でイートインもOK
オープン当初は店内に小さなカフェスペースがあったのですが、お客さんが増えて、現在は2階にイートインスペースを設けています。下でパンと飲み物を買って、上で食べるというシステム。
キムさんに人気のパンを聞くと、ドイツパン以外では、実は塩パン(소금빵)が人気なのだそう。「塩パンは日本発祥なんですけどね」と、笑っていました。外はカリッと、中はしっとり、ほんのり塩味がきいて確かにおいしい。

ケーキも絶品で、私は毎年誕生日ケーキをここで買っています。フルーツが見た目だけでなく中までぎっしりで、食べた友達はみんなびっくり。季節によってフルーツは様々ですが、春はイチゴのケーキが並んでいました。クリスマスシーズンは、シュトーレンも人気。

現在、本店の他にソウルに2店舗、その一つは2023年にオープンした清潭洞(チョンダムドン)の「M CAFE」です。ドイツのレザーブランドMCM併設のカフェで、「BrotART」のパンが味わえます。また、昨年末には地下鉄汝矣島駅5番出口のすぐ前にも「BrotART」2号店がオープンし、今後もさらに店舗が増える見込みです。

お店情報
店名 | : | BrotART(ブロートアート) |
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住所 | : |
서울특별시 영등포구 국제금융로7길3 ソウル特別市永浦区国際金融路7キル3 地下鉄5・9号線汝矣島駅・5番出口・徒歩13分 |
TEL | : | 02-785-0466 |
営業時間 | : | 08:00-21:30 |
メニュー | : | クリームチーズ・ネギ・プレッツェル4,900W、塩パン3,700W、プレッツェル3,700W、イチゴケーキ(ホール)53,000W、アメリカーノ(ホット)3,700W、アメリカーノ(アイス)3,900W |
*許可を得て撮影掲載しています
*店舗情報に関してSMTOWN OFFICIAL
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