Chef PROFILE


fragment麻布十番 シェフ
日髙 弘樹 さん
1982年神奈川県生まれ
東京・横浜のイタリア料理店にてリストランテの料理・郷土料理を深く学ぶ。
27歳の時に目黒にあったデザインホテル”claska”の料理長に就任。
2023年、fragment麻布十番の開業と共に料理長に就任。
“江戸前ならぬ全国前”をコンセプトに魚介類を中心とした料理を提供している。
“家でどのように簡単にできるか”を日髙シェフが徹底追求。
追求の末、誕生した3品のアレンジレシピを掘り下げていきましょう。

ジェノベーゼパスタのケランマリ
〜ツナマヨ添え〜

このメニューのこだわりを教えてください。
卵料理といっても様々なメニューがありますが、今回はおつまみ感覚で味わえる一品に仕上がっています。
前菜のように冷たくても美味しく味わえます。ケランマリは、イタリアのオムレツのようで、ジョイントしやすい料理でした。
そしてジェノベーゼソースを入れることで、イタリア料理の要素を足しています。
韓国料理に寄せるのならバジルソースをエゴマに変えてみても面白いですね。
このレシピだったら、より韓国料理風の自己流アレンジも加えられる、というところがレシピのこだわりです。
韓国の“ケランマリ”はいわゆる日本の卵焼きのように長細い長方形ですが、今回丸くした理由はありますか?
今回の調理ポイントとして、蓋を必ず使うことが重要です。蓋がないと蒸し焼きの状態にならないため、今回はご家庭にありそうな一般的な丸いフライパンをチョイスしました。ただ蓋がついていれば、形はどんな形でも大丈夫です!
食材選びはどのようにしましたか?ポイントがあれば教えてください。
まずズッキーニは韓国カボチャの食感に似ているため、最初に決めました。そしてイタリア料理と韓国料理をミックスしても、ズッキーニの味は馴染みやすいんです。
そして、韓国料理と言ったらキムチやコチュジャン、イタリア料理もトマトなど赤いイメージが強いですよね。けれど今回はあえてグリーンをテーマに食材をチョイスしています。

ビビンバの焼きリゾット
〜コチュジャンと挽き肉のボロネーゼ風ソース〜

このメニューのこだわりを教えてください。
「石焼ビビンバを家で食べられたらいいな」とビビンバがお好きな方は必ず思うはずです。
イタリアの家庭料理にはないメニューですが、イタリア料理のリゾットをアレンジして焼いたら完成できるかもと思いました。
見た目はイタリア料理ですが、テイストは今回のメニューの中で一番韓国のニュアンスが強いと思います。
もしもっとこだわるのであれば、野菜のナムルを自分で作ってみても面白いです。
今回は市販のミートソースを使用しましたが、アクセントとしてひき肉を追加して加えることが重要です。
しかもあまり肉の形を崩さず調理することで、より肉々しさを強めているんです。召し上がる時に崩してもらうと口の中で石焼ビビンバのニュアンスを感じられる。ここがポイントですね。
様々な韓国調味料(粉唐辛子やサムジャンなど)がある中でコチュジャンを選ばれた理由はなんですか?
*サムジャン:コチュジャンよりも味噌の風味が強いのが特徴の韓国料理定番調味料
ビビンバに入れるなら、やはりコチュジャンかなと思いました。味のバランスをとりやすいと思います。
そしてコチュジャンはトマトとの相性が一番いいんです。サムジャンと合わせると旨みが弱くなってしまいます。
でも粉唐辛子は、仕上げにかけていただいても合うと思います!
おこげが好まれるビビンバは焼き加減が難しいかなと思うのですが、注意すべきことはありますか?
フライパンの上であまり動かさず香ばしく焼き色をつけるように、ひたすら香ばしく焼きましょう!
焦って焼こうとするとどうしてもほぐれ過ぎてしまうので、しっかり冷蔵庫で一晩程冷やし固めてから焼くことが良い焼き加減になるポイントです。

鶏むね肉のカツレツ
〜チーズタッカルビ仕立て〜

このメニューのこだわりを教えてください。
カツレツとチーズタッカルビという完成された2つの料理が1つになった料理を考えました。
ヨーロッパに行くと鶏むね肉は高価なものとされますが、日本ですとパサつきが出たりとか使いづらい食材の一つでもあります。
ただ、叩くことで美味しくなるんだよ、というところをお伝えしたいです。
(叩くのは、焼き料理の時だけになりますでしょうか?とお聞きすると)
そうですね、基本的に焼く料理の時には叩いてから調理すると良いと思います。
叩くと薄くなるのに加え、肉の繊維がほぐれ柔らかい食感になります。
例えば野菜をのせて巻いて蒸したりする調理方法の時にも、叩いてから調理すると良いですね。ただよくあるサラダチキンなどのように低温調理をする場合はあえて叩く必要はないと思います。
仕上げの際に気をつけていたことはありますか?
キムチを鍋料理などに入れるときでも最初に炒めることで香りがすごく立ちます。このひと手間を行うだけですごく変わります。
そしてチーズとキムチの相性も抜群ですよね。
(トッピングに生ハムを使用したのはなぜでしょうか?とお聞きすると)
イタリア料理はよく調理工程としてお水を加えます。
そこで生ハムを入れることでダシを出すのが隠し味になります。逆にベーコンだと味がつきすぎちゃうので注意してくださいね。
全3品についてこだわりポイントを教えていただきありがとうございます!
今回のアレンジレシピを通して発見したことなどはありますか?
イタリア料理と韓国料理は近しいものがあります。
調理工程は全く別ですが、食材の掛け合わせとかが本当に似ています。
イタリア料理も韓国料理も家庭で作るとなると、ハードルが上がりますよね。
でも、今回のように少しゴチャってさせることによって手が伸ばしやすいものになると思います。
試してもらえる良い機会になるといいなと思います。
逆に韓国料理とイタリア料理、全く違うなと思うところはありましたか?
韓国料理は調味料をたくさん使うなと感じます(笑)
和食も塩・酒・醤油・みりんなど使用しますが、イタリアンは塩とオイル、バターなどで味付けができます。
それは外的要因で味を入れるのではなく、使う食材の味を考えて、生かしていくという考えです。
今回は韓国料理×イタリアンのアレンジレシピを作っていただきました!最後に今後の目標や挑戦してみたいことなどはありますか?
fragmentでは、魚介類は目利きの優れた仲買人が選んだ物を、野菜や果物は日本各地の農家さんから、肉類は日本・ヨーロッパを主に産地・生産者を選んで仕入れております。
イタリア料理の魚介系メニューは、シンプルにカルパッチョやグリルが多いですけど、良い食材だからこそ一手間二手間加えてここでしか食べられない料理をオープン以来考えています。
ただ美味しい料理を食べに行く、ではなく、fragmentにこれを食べに行こうと思える料理を常に考え続けています。


Information
お店情報
店名 | fragment |
---|---|
住所 | 東京都港区麻布十番3-9-2 タモン麻布2F |
TEL | 03-6812-6933 |
*許可を得て撮影掲載しています
*店舗情報に関してSMTOWN OFFICIAL JAPANにお問い合わせいただいても対応できかねます。直接店舗へお問い合わせください